@article{oai:ic.repo.nii.ac.jp:00000867, author = {KAKEGAWA, Tomiyasu and 掛川, 富康}, journal = {茨城キリスト教大学紀要 I.人文科学, Journal of Ibaraki Christian University I. Humanities}, month = {}, note = {III.1946年に発表されたドイツ・ロマニスト,E.Auerbachの作品 Mimesis は,第二次世界大戦の前後からヨーロッパ・フマニスムスに関心を持つ多くの人(H.-I. Marrou, Thomas Mann等々)の意識と重なる。続いて1958年,A.は,LPSMを発表し,前著の欠陥とも言うべき,sermo humilis の文献学的確認,600−1100年の文学史の欠如をそれぞれ補ったが,ロマニストとしての意識は,ドイツ文学の文学的未成熟という点に集約される,と思われる。拙論は,この問題へ視線を向けながら,上記二著そのものの解釈に必要な視点・用語を整理した。 1.u. Exkurs フマニスムスという用語は,伝統的なアルスarsを基礎においた修辞学との結びつきが強いため,A.はこの用語を避け,ars にではなく,文体(Stil)を基礎にした文学史の解明を試みている,と解せられる。ars 中心の文学史分析は,もう一人のロマニスト,E. R. Curtius の作品(ELLMA, 1947)の意図したものであり,C.は,この点からA.の1946年の著作に批判的書評を行った(1952)。2.古典的世界における文学的現実描写は,様式分化が徹底されたため,日常的な世界は,文学の本来の対象とされなかったが,二世紀以来のラテン語の俗化過程(俗ラテン語の進展)の中で,様式混合の原理と精神が,Gregor von Tours (538/539-593) などによって,成熟したリアリズムとして具体化・促進された。3.u.5.A.の文体論を基礎にした文学史分析は,ローマの思想家Ciceroの三文体論(sermo gravis, [sermo mediocris], sermo humilis)が前提にされ,真の文学的リアリズムは,非日常的なもの・悲劇を,高尚な文体で描くことに集約され,日常的なもの,低俗なものは,文学的リアリズムの本来の課題ではないとされた(Stiltrennung 様式分化)。これとは対照的に,他の伝統であるヘブライ・キリスト教の文体意識には,日常的な現実の中に,真のリアリズムを,平易な文体でも描写するというリアリズム(Stilmischung,様式混合)があることが指摘される。様式混合の根拠は,福音書におけるペトロによるイエス否認,および使徒行伝に描かれた救済史的な歴史理解,という二つの事象等々およびその文体に求められている。この様式混合によるリアリズムは,19世紀初頭のフランスにおける近代リアリズムの展開と実質的な連関があると指摘される。4.u. Exkurse しかし,近代の文学的リアリズムは,その前史として,様式分化に刻印された中世末期の文学の中に,これからの解放として脱宗教化された,「生物学的リアリズム」が,F.Villon (1432-ca.1464) などから胚胎したとされる。さらにイタリアでは14世紀前半に中庸体の誕生がその社会的前提から可能とされていたが,Dante (1265-1321) の文学の中には,文体史的に観て,さまざまな流れが合流し,そのフィグラ(比喩形象)の思想は,様式混合のリアリズムが,歴史文学の中で具象化されたものと位置づけられている。この影響下にあるルネサンスとそのフマニスムスは,文体史的には,中庸の文体に対応するとされ,Danteの影響下にBoccaccio (1313-1375) のもとで,古典古代以来初めて,ヨーロッパ文学史上最初の散文によるリアリズム文学が誕生したとされる。}, pages = {57--71}, title = {フマニスムスとドイツ・ロマニスティーク(2) E.アウエルバッハ1946年作品への予備的考察 リアリズム,様式混合,様式分化,俗ラテン語等々}, volume = {52}, year = {2018}, yomi = {カケガワ, トミヤス} }